こんな人・場面向けの記事です:Excelや社内のデータベースにある売上・顧客・製造などの表データを、AIで予測や分類に使いたい担当者の方。「ChatGPTのような汎用AIで足りるのか、専用のAIが要るのか」を知りたい方に向けています。
この記事で分かること
- LG AI Researchは2026年8月7日、表データの分析と予測に特化したAI「Exaone Tabular」と、時系列(時間とともに変わるデータ)の予測AI「Exaone Forecast」が、世界的な評価で首位に立ったと発表しました。Googleなどの競合モデルを上回ったとしています[1]
- 表データ用の評価では、Exaone Tabularの評価点(ELO)は1,760で、Googleの「TabFM」の1,749を上回りました[1]
- これは開発元の発表で、差も大きくありません。自社のデータで同じ結果になるとは限らないため、まず自社のデータで小さく試す必要があります(筆者の整理)
用語の整理
- 表データ(構造化データ):行と列で整理された、Excelやデータベースの形のデータです。製造の工程データ、顧客情報、財務記録などが当てはまります[2]
- 時系列予測:過去の売上や価格など、時間の流れに沿ったデータから、将来の値を予測することです[1]
- ゼロショット予測:追加の学習をしないまま、なじみのない分野のデータを、正確に予測できるかを測るものです[1]
- ELO:モデル同士の対戦の結果から算出する、相対的な強さの点数です
発表の内容
Korea Heraldによると、LG AI Researchは、表データの分析と時系列予測のExaoneモデルが、世界的なAIの評価で首位になり、GoogleやAlibabaなどの大手企業のモデルを上回ったと発表しました。評価は、化学、医療、金融、製造などの産業のデータを使って、AIの予測の良さを測るものです[1]。
| モデル | 発表された内容 |
|---|---|
| Exaone Tabular | 表データ向けの基盤モデル。評価点は1,760で、GoogleのTabFMの1,749を上回る。合成した大量の表データで学習し、行・列・データ間の関係を直接理解するよう設計[1] |
| Exaone Forecast | 時系列予測のモデル。ゼロショット予測で首位。金融、エネルギー、製造、医療のデータを、1つのモデルで扱える[1] |
Seoul Economic Dailyによると、Exaone Tabularは、表データAIの代表的な評価基盤「TabArena」で、カテゴリ予測の部門の総合1位でした。正常か不良かの2択の分類と、3つ以上の選択肢の分類の、どちらでも上位の性能だったと報じられています[2]。
同社は、新しい問題に、少量のデータで素早く適応できることも強みだと説明しています。新製品や新工程では、十分なデータを集めにくいためです[2]。
なぜ「表データ専用」のAIが注目されるのか
Korea Heraldは、汎用の言語モデルは、通常、表を文字(テキスト)に変換して分析すると説明しています。これに対し、Exaone Tabularは、行と列の関係を直接理解するよう設計されています[1]。
LG AI Researchの共同責任者は、世界のIT企業の関心が、汎用の言語モデルから、実際の産業の現場で問題を解く、産業特化のAIへ急速に移っていると述べています[1]。
ただし、汎用AIに表を渡すと分析の精度が上がらないと言っているのではなく、表データに特化した設計の違いを説明している点に注意してください。
すでに使われている例と、今後の計画
- 社内での利用:LGグループの中で、LG Electronicsの製品の需要と、LG Energy Solutionの原材料価格の予測に使われています[1]
- 外部との協力:今年から、KoscomおよびLondon Stock Exchange Groupと、韓国と米国の株式市場のAI分析で協力しています[1]
- 今後の実証:下半期に、製造、バイオ・医療、金融の分野で実証実験を行う計画です。電池の品質評価、病気のリスク予測、融資の延滞・債務不履行の予測、不審な取引の検知が想定されています[1]
評価の数字をどう読むか(筆者の整理)
以下は、発表の内容を、実務の視点で整理した筆者の見解です。
| 論点 | 整理 |
|---|---|
| 差の大きさ | 評価点の差は、筆者試算:1,760 − 1,749 = 11ポイントです。この差が、実務での違いに結びつくかは、発表からは分かりません |
| 発表主体 | 数字は、LG AI Researchの発表と、それを報じた記事が根拠です。第三者による再現は、確認できていません |
| 自社のデータとの相性 | 評価は、産業データを使ったものです。自社のデータの質や量で、同じ結果になるとは限りません |
| 提供形態 | 外部の企業が使える形で提供されているかは、確認できた情報では分かりません |
具体例:売上データの予測で、汎用AIと専用モデルを比べる手順(筆者の整理)
以下は、発表の考え方を、営業企画の担当者の需要予測に当てはめた筆者の例です。発表が示した手順ではありません。
- 過去の売上データ(例:商品別・月別)を、Excelで整理し、予測したい期間を決める
- 直近の数か月分を「答え」として伏せ、それ以前のデータだけで予測させる
- 汎用のAIと、既存の集計手法(前年比など)の両方で、伏せた期間を予測させる
- 予測と実際の値の差を、方法ごとに比べる
- 専用のモデルが使える場合は、同じ条件で試し、差が費用に見合うかを判断する
保存用チェックリスト:表データのAI活用を始める前に
- 予測したい対象と、使うデータの範囲・期間を決めているか
- データに、欠けや重複、入力ミスがないか、事前に点検したか
- 「既存の集計手法」との比較を、必ず行う計画か
- 予測の良さを測る指標(誤差の大きさなど)を、先に決めているか
- 顧客情報や機密データを扱う場合の、社内ルールを確認したか
- AIの予測を、そのまま意思決定に使わず、人が確認する手順があるか
上司・同僚に説明する3行
- LG AI Researchが、表データ向けAIの評価で首位になったと発表。評価点は1,760で、GoogleのTabFMの1,749を上回った[1]
- 汎用AIは表をテキストに変換して分析するのに対し、Exaone Tabularは行と列の関係を直接扱う設計[1]
- 開発元の発表で、差も大きくない。自社のデータで、既存の手法と比べて小さく試す
よくある質問
Q1. 汎用AIに、Excelのデータを渡しても意味がないのですか?
そうは言えません。発表は、設計の違いを説明しているのみで、汎用AIの精度が上がらないとは述べていません[1]。自社のデータで、比べて確かめてください。
Q2. このモデルは、誰でも使えますか?
確認できた記事には、外部の企業向けの提供条件は書かれていません。現時点では、LGグループ内での利用と、一部の企業との協力が報じられています[1]。
Q3. 予測にAIを使うと、Excelの集計は不要になりますか?
いいえ。既存の集計手法と比べて、AIが優れているかを確かめる作業が必要です。比較の基準として、従来の手法は残しておいてください(筆者の整理)。
限界・未確認事項
- 本記事は、Korea Herald(8月7日付)と、Seoul Economic Dailyの報道に基づいています。LG AI Researchの発表の原文は確認していません。
- 評価の結果は、開発元の発表です。第三者による検証は、確認できていません。
- 評価点の差は小さく、実務での差に結びつくかは、発表からは分かりません。
- 提供形態、料金、日本での利用条件は、確認できた範囲では示されていません。
- モデルの評価は、順位が入れ替わることがあります。最新の状況は、評価基盤の公式の情報で確認してください。


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