こんな人・場面向けの記事です:経理・コンプライアンス・バックオフィスの担当者や管理職で、「AIエージェントが経理や審査の仕事にどう入ってくるのか」を、報道された事実の範囲で確認したい方。
この記事で分かること
- Goldman Sachsは、AnthropicのAIモデルClaudeをもとに、取引・経理の処理と、顧客の審査・受け入れ(オンボーディング)を自動化するAIエージェントを、共同で開発しています[1]
- 開発は6か月にわたり、Anthropicのエンジニアが銀行内に入って行っています。同行は「初期の段階」と説明し、導入時期は「近く」とだけ述べ、具体的な日付は明かしていません[1]
- 処理時間の短縮幅などの数値は、報道では示されていません。人員削減については、同行のCIOが「時期尚早」と述べています[1]
何が報じられたのか
CNBCは2026年2月6日、Goldman Sachsが、AI企業のAnthropicと協力して、社内の多くの職種を自動化するAIエージェントを作っていると報じました。同行の最高情報責任者(CIO)であるマルコ・アルジェンティ氏が、CNBCに独占的に語った内容です[1]。
同行は過去6か月、Anthropicのエンジニアを銀行内に常駐させ、少なくとも2つの分野で、自律的に動くエージェントを共同で開発してきました[1]。
| 分野 | 内容(報道) |
|---|---|
| 取引・経理の処理 | 取引や決済に関する経理。取引の突合(=記録どうしを照らし合わせて一致を確認すること)の問題の解決も対象[1][2] |
| 顧客の審査・受け入れ | 新規顧客の確認と、取引開始までの手続き。エージェントの開発で、より早く受け入れられるようになると説明[1] |
アルジェンティ氏は、これらのエージェントを「規模が大きく、複雑で、手続きの多い専門職のための、デジタルな同僚」と表現しました。導入は「近く」と述べつつ、具体的な日付は示しませんでした[1]。
背景:同行のAI戦略
CEOのデイビッド・ソロモン氏は、生成AIを軸に組織を再編する複数年の計画を表明しています。取引や助言の収益が伸びている局面でも、この再編の中で人員の増加は抑える、という方針です[1]。
報道は、Anthropicのモデル更新が、ソフトウェア企業やその資金の出し手の間で大きな売りを招いていることにも触れ、AIの勝者と敗者を見極めようとする市場の動きの中で、今回の話が出てきたと位置づけています[1]。PYMNTSも、同じ週の技術・金融サービス株の売りが、AIが既存のソフトウェア事業者を混乱させるという懸念を映していると伝えています[2]。
なぜコーディング以外にも使えると判断したのか
同行は前年から、自律型のAIコーディングツール「Devin」を試し、現在は同行のエンジニアが広く使えるようになっています。その過程で、Anthropicのモデルが、コーディング以外の銀行内の分野でも使えると分かったと、アルジェンティ氏は説明しています[1]。
同氏によれば、同行は、経理やコンプライアンスのような、大量のデータや文書を読み解きながら、ルールと判断を当てはめる領域で、Claudeの能力に「驚いた」とのことです[1]。PYMNTSも、コーディング支援の試験から、より高度な金融の業務にも使える推論能力があると認識するに至った、と伝えています[2]。
雇用や今後の展開について、何が語られたか
- 雇用:同行のコンプライアンスと経理の部門には、数千人が働いています。アルジェンティ氏は、この技術が失業につながると見るのは「時期尚早」と述べました[1]
- 方針:同行は、人員の増加を抑える方針を、CEOのデイビッド・ソロモン氏がすでに示していると報じられています[1]
- 外部委託:技術が成熟すれば、現在利用している外部の提供元を減らす可能性があるとも述べています[1]
- 次の候補:従業員の監視や、投資銀行部門の提案資料の作成などが、次の対象として挙げられました[1]
- 位置づけ:社内では、人に置き換わるのではなく、「デジタルな同僚」として使う枠組みで説明されていると、PYMNTSは伝えています[2]
アルジェンティ氏は、「常にトレードオフだ」と述べたうえで、現在の考え方は、処理能力を「注入する」ことだと説明しています。多くの場合、仕事が速くなり、顧客体験の向上と取引の増加につながる、という趣旨です[1]。
自社の経理・審査業務に当てはめるなら(筆者の整理)
以下は、報道された内容を、一般の企業の担当者向けに置き換えた筆者の整理です。Goldman Sachsの手法そのものではありません。
| Goldman Sachsの取り組み(報道) | 自社で考えるときの視点 |
|---|---|
| 規模が大きく、複雑で、手続きの多い業務が対象 | 件数が多く、手順が決まっている業務から検討する |
| 大量のデータや文書を読み、ルールと判断を当てはめる | ルールが文章で説明できる業務か。判断の基準を整理できるか |
| エンジニアが銀行内に入り、6か月かけて共同開発 | 現場の担当者を巻き込み、試験運用の期間をとる |
| 「初期の段階」として、導入時期は明言しない | 成果が出る前に、大きな約束をしない |
| 雇用への影響は「時期尚早」 | 人が担う役割の変化を、早めに関係者と話す |
保存用チェックリスト:バックオフィスでのAIエージェント検討
- 対象にしたい業務が、件数が多く、手順とルールを文章で説明できるものか
- 例外や判断に迷うケースを、人が扱う仕組みを決めているか
- AIが処理した記録(根拠と結果)を、監査のために残せるか
- 顧客情報や取引データを、AIに渡してよいか。社内・社外のルールを確認したか
- 試験運用の期間と、成果を測る指標(処理時間、誤りの件数)を決めているか
- 担当者の役割の変化について、関係者と話をしているか
上司・同僚に説明する3行
- Goldman Sachsは、Anthropicと共同で、取引・経理と顧客審査を自動化するAIエージェントを開発中。導入時期は「近く」とだけ示されている[1]
- 開発は6か月にわたり、初期の段階。処理時間の短縮幅などの数値は、報道では示されていない[1]
- 雇用への影響は「時期尚早」との説明。自社で検討するなら、手順が明確な業務から小さく試す
よくある質問
Q1. 処理時間は、どれくらい短くなるのですか?
報道では、短縮の幅は示されていません[1]。「数日の業務が数時間になる」といった数字を示す記事もありますが、その根拠はCNBCの記事では確認できません。
Q2. もう使われているのですか?
同行のCIOは、「初期の段階」で、導入は「近く」と述べています[1]。すでに全面的に稼働しているとは、報じられていません。
Q3. 経理の仕事はなくなりますか?
同行のCIOは、この技術が失業につながると見るのは「時期尚早」と述べています[1]。将来については、報道からは分かりません。
限界・未確認事項
- 本記事は、CNBC(2月6日付)と、それを引用したPYMNTSの報道に基づいています。Goldman Sachsの公式発表そのものではなく、CIOへのインタビューの内容です。
- 処理時間の短縮幅、費用、対象となる業務の規模は、報道では示されていません。以前に流通した数値は、確認できていません。
- エージェントが、どのような監督のもとで動くか(人の確認の方法)は、確認できた範囲では、詳細が示されていません。
- 他の金融機関や、他の業種で同じ成果が出るかは、この報道からは分かりません。
- 導入の状況は変わる可能性があります。最新の情報は、同行の公式発表などで確認してください。


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